農福連携で開業する就労継続支援A型 ONENOUENフランチャイズ
2026.09.09
農業と福祉を掛け合わせる「農福連携」は、国も推進する取り組みとして広く知られるようになりました。障がいのある方の働く場と、農業の担い手不足——ふたつの課題を同時に解く発想は、事業として大きな可能性があります。
ただ、開業のご相談をお受けしていて強く感じるのは、就労継続支援A型で農業を行うことの意味が、正しく理解されていないことです。A型は利用者と雇用契約を結び、最低賃金以上の賃金を支払います。そしてその賃金の原資は、原則として生産活動の収入から、生産活動に必要な経費を引いた残りです。つまりA型で農業をやるということは、「福祉サービスを運営する」と同時に「農産物で売上をつくる」責任を負うということにほかなりません。
この記事では、群馬県伊勢崎市でミニトマトのハウス栽培を行うONENOUEN(ワンノウエン)の運営をもとに、農福連携×就労継続支援A型で開業するとは何をすることなのかを、制度・お金・農業実務の順に整理します。

結論 A型農福は「賃金を農産物の売上で払う」事業です
最初に、B型との決定的な違いを押さえてください。
- 就労継続支援B型 雇用契約を結ばず、生産活動の収入から必要な経費を引いた額を「工賃」として支払います。工賃の水準は事業所ごとに幅があります。
- 就労継続支援A型 雇用契約を結び、最低賃金以上の賃金を支払います。労働基準法や最低賃金法が適用され、賃金は原則として生産活動収入から支払う(生産活動収入から必要経費を差し引いた額が賃金総額以上になる)ことが求められます。
この一点だけで、必要な事業設計がまったく変わります。B型が「支援の場をつくる事業」だとすれば、A型は「支援の場をつくり、同時に安定して売れる商品をつくる事業」です。農業を選ぶということは、その商品が農産物になるということです。天候にも相場にも左右される領域で、毎月の賃金を支払い続ける計画が要ります。
ここを軽く見た結果として起きたのが、2017年に相次いだA型事業所の大量解雇問題です。報道された事案では、複数の事業所で合計2,272名が一度に職を失いました。以降、A型には収支に関する要件やスコア方式による評価が導入され、運営の適正さが厳しく見られるようになっています。A型・B型の違いそのものは就労継続支援B型とはとあわせてご確認ください。
▶ FC開業をお考えの方へ:就労支援フランチャイズの開業費用・収益モデル・本部の選び方を体系的にまとめた就労支援フランチャイズとは?完全ガイドもあわせてご覧ください。
ONENOUENとは ミニトマトを「植えてから出荷まで」担う事業所
ONENOUEN(ワンノウエン)は、株式会社ワンライフが群馬県伊勢崎市赤堀今井町で運営する、就労継続支援A型・B型の多機能型事業所です。ビニールハウスでのミニトマト栽培を通じて農福連携を実践しています。
特徴は、作業の一部だけを請け負うのではなく、苗を植える定植から、栽培・管理、収穫、選別、パック詰め、出荷までを一貫して担っていることです。「自分たちが育てたものが、商品として世に出ていく」。この実感が、日々の手ごたえとやりがいにつながっています。
働き方は2つから選べます。
| 区分 | 働き方 | 時間・日数 |
|---|---|---|
| 就労継続支援A型 | 雇用契約を結んで働く(時給1,120円) | 週5日/9:00〜15:15 |
| 就労継続支援B型 | 自分のペースで働く(時給300円) | 週1〜5日から選択/9:00〜15:15 |
※記載の賃金・工賃・勤務時間はONENOUENの一例であり、変動する場合があります。
10代から60代まで幅広い年齢の方がシフト制で通っており、育てた野菜を伊勢崎のマルシェなど地域の販売イベントで自分たちの手で売る機会もあります。現場の様子は農福連携とは ONENOUENのミニトマト栽培に見る障がい福祉×農業で紹介しています。

なぜ農業なのか 「課題×課題」で両方が良くなる
農福連携は、障がいのある方の「働く場」の不足と、農業の「担い手不足」という2つの課題を掛け合わせ、両方を同時に良くしていく仕組みです。国も推進しており、地域の農家や自治体との連携が生まれやすい領域でもあります。
事業としての利点は、次の3つに整理できます。
- 作業を細かく分けられる 水やり、収穫、選別、パック詰め——工程を分解すれば、その方に合った「できる作業」が見つかります。未経験でも役割を持てるのが農業の強みです。
- 成果が目に見える 育てたものが商品になり、売れる。この手ごたえが自信になり、一般就労への足がかりになります。
- 地域とつながる 直売所、マルシェ、提携農家。地域の中に事業所の役割が生まれ、利用者募集の面でも認知につながります。
一方で、忘れてはならないのが「農業は天候と相場に左右される」という現実です。A型では、その売上から賃金を支払います。だからこそ、通年で収入を平準化する設計が要ります。ONENOUENがハウス栽培のミニトマトを主軸に置いているのは、露地に比べて栽培環境をコントロールしやすく、出荷の波を読みやすいからです。夏場は「パット&ファン」(井戸水をハウスの壁に流し、そこへ風を通して気温を下げる仕組み)で暑さを和らげ、働きやすさと収穫の安定を両立させています。
同じ想いで、地域に新しい福祉の選択肢を
ワンライフは「障がいのカタチを変える。選択肢を増やす。」という想いに共感し、一緒に歩むパートナーを募集しています。
資料請求・個別面談・オンライン説明会で、ご希望に合わせてご案内します。
A型で開業するときに必ず押さえる論点
A型は、B型に比べて求められる水準が明確に高いサービスです。開業前に次の点を確認してください。
| 論点 | 内容 |
|---|---|
| 雇用契約と賃金 | 利用者と雇用契約を結び、最低賃金以上を支払う。最低賃金は毎年改定されるため、賃金上昇を織り込んだ計画が必要。 |
| 生産活動収入 | 賃金は原則として、生産活動収入から必要な経費を引いた残りから支払う。収入が不足する場合、運営の是正を求められる。 |
| スコア方式 | 労働時間、生産活動、多様な働き方、支援力向上、地域連携などの観点から事業所を評価する仕組み。基本報酬に反映される。 |
| 人員基準 | 管理者、サービス管理責任者、職業指導員・生活支援員の配置が必要。B型と同様、サビ管の確保が最初の壁。 |
| 総量規制 | 就労継続支援は総量規制の対象。地域によっては指定を受けられない。物件・農地を押さえる前に自治体へ確認する。 |
| 資金繰り | 給付費の入金はサービス提供のおよそ45日後。加えて農業は収穫まで収入が立たない期間がある。 |
※要件・評価項目は報酬改定や自治体の運用で変わります。必ず最新の告示と自治体の要領をご確認ください。
とくにサービス管理責任者の確保は、農業の知識よりも先に立ちはだかる壁です。要件は経歴により実務経験3〜8年に加え、基礎研修・原則2年のOJT・実践研修という段階を踏む必要があり、お金では時間を買えません。詳しくはサービス管理責任者(サビ管)とはと人員基準の解説をご覧ください。指定申請の流れは障がい福祉サービスの指定申請で解説しています。

多機能型という選択肢 A型とB型を組み合わせる意味
ONENOUENがA型・B型の多機能型である点には、運営上の意味があります。
- 受け入れの幅が広がる 「しっかり働いて収入を得たい」方にはA型、「まずは短い時間から慣れたい」方にはB型。同じ農場のなかで、その方の状態に合った働き方を選べます。
- 段階的なステップになる B型で生活リズムと作業に慣れ、A型で雇用契約のもとで働く。事業所を変えずに次の段階へ進めることは、本人にとって大きな安心になります。
- 稼働の設計に幅が出る 農作業には繁閑があります。作業量の波に応じて、どの工程を誰が担うかを柔軟に組み立てられます。
なお、B型の基本報酬は前年度の平均工賃月額に連動します。農業のように売上が季節で変動する事業では、工賃の設計が翌年度の報酬区分に影響する点も意識してください。工賃の仕組みは工賃とはで解説しています。
【最新の改定】令和8年度の臨時改定により、令和8年6月分の算定から、基本報酬の区分を決める「平均工賃月額」の基準額が一律3,000円引き上げられ(区分一は月4.5万円以上→4.8万円以上)、区分の間に中間区分A〜Fが新設されました。区分七・八・九の基準は変更されていません。対象となる事業所は区分変更の届出が必要です。最新の告示・自治体の要領を必ずご確認ください。
ONENOUENのフランチャイズで本部が担うこと
農福連携で最も難しいのは、「農業の技術」と「福祉の運営」を同時に立ち上げることです。どちらか一方の経験しかない状態で始めると、必ずもう一方でつまずきます。ONENOUENのフランチャイズは、この二重の立ち上げを支えるための仕組みです。
- シェア畑と直販の仕組み…農地に用意した土耕エリアを使い、生産から販売までの一連を経験できる形。農業者としてのスキルが身につく設計になっています。
- 提携農家での現場実習…提携農家で実習を行うことで、より実践的な技能を習得できます。利用者にとっては農業関係の知り合いが増え、業界に馴染む機会にもなります。
- 独立・共済・就職の支援…農業で独立したい方へのバックアップ、実習先や就職先の農家の紹介まで視野に入れた支援を行います。
- 福祉側の運営支援…指定申請、人員配置、支援プログラム、記録といった制度事業の実務を、直営運営で積み上げた型として共有します。
加盟条件については、業界未経験の方も対象としており、ロイヤリティ無料制度の設定もあります。ただし適用の条件や初期費用は、地域や規模の前提によって変わります。数字を並べる前に、開業予定エリアで指定を受けられるかどうかも含めて個別にご説明したほうが確実です。
同じ想いで、地域に新しい福祉の選択肢を
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開業までの流れ
- 情報収集・資料請求…事業モデル、必要な体制、農地の考え方を確認します。オンライン説明会では個別のご質問にもお答えします。
- エリア調査・事前協議…開業予定地の自治体で、総量規制を含めた指定の見通しを確認します。農地の確保より前に着手すべき工程です。
- 農地・物件の検討…農地の権利関係、ハウスの設置、水と電気、事業所として使う建物までを一体で計画します。
- 法人設立・資金計画…法人格を整え、給付費の入金時期と収穫までの期間を織り込んだ運転資金を用意します。
- 人材の確保…サビ管を軸に人員を配置します。農業の指導ができる方は事業の要ですが、人員基準とは別の枠として整理してください。
- 指定申請・開所…書類を提出し、指定は原則として毎月1日付。作付けの時期と開所時期を合わせる工程管理が要ります。
注意点 農業は「うまくいく年」と「そうでない年」があります
最後に、正直にお伝えしておきたいことがあります。障がい福祉サービスは公費を原資とする制度事業であり、収益を断定的に保証できる事業ではありません。「必ず儲かる」といった説明は、景品表示法や特定商取引法の観点からも適切とはいえません。加えて農業には、天候による不作、相場の下落、資材費の高騰といった変動要因があります。
だからこそ、A型農福を検討する際は次の3点を確認してください。
- 収入が落ちた年に、賃金を払い続けられる計画か 運転資金の厚みと、収入の柱を複数持つ設計。
- 販路が具体的か 直売、マルシェ、卸。誰に、どのくらいの量を、いくらで売るのかまで説明できるか。
- 本部が直営で運営しているか 自社で農場と事業所を運営していない本部は、現場で起きる問題への答えを持っていないことがあります。
つまずきの類型は就労支援フランチャイズの失敗事例に、加盟と独立の判断軸は独立開業とフランチャイズの比較にまとめています。

よくあるご質問
Q. 農業の経験がなくても開業できますか。
A. 未経験からの開業は可能です。ONENOUENのフランチャイズは業界未経験の方も対象としており、栽培から販売までの型と、提携農家での実習の仕組みを用意しています。ただし、栽培を丸投げできるわけではなく、経営者として現場を理解する姿勢は必要です。
Q. A型とB型、どちらで始めるべきですか。
A. 生産活動の収入見通しによります。A型は雇用契約を結び最低賃金以上を支払うため、売上の見通しが立たない段階で選ぶとリスクが高くなります。多機能型として両方を持ち、状態に応じて受け入れる形も選択肢です。
Q. 農地はどのように確保しますか。
A. 農地には権利関係の制約があり、地域によって取得や賃借の条件が異なります。ハウスの設置、水源、電気、事業所として使う建物との位置関係も含めて検討が必要ですので、候補地が出た段階でご相談ください。
Q. 冬場など、収穫がない時期はどうするのですか。
A. 品目と栽培方式の選び方で、出荷の波はある程度コントロールできます。ハウス栽培を主軸に置くのはそのためです。加えて、選別・包装・販売といった収穫以外の工程や、加工・販売イベントを組み合わせることで、年間を通じた作業量を確保します。
Q. 就労継続支援は、どこでも開業できますか。
A. いいえ。総量規制の対象であり、地域によっては新規の指定を受けられません。令和6年4月からは市町村が都道府県に意見を申し出る仕組みも設けられました。農地を押さえる前に、必ず自治体へ確認してください。
Q. 資金はどのくらい必要ですか。
A. 事業所の整備費用に加え、農業の設備投資と、給付費が入金されるまでの運転資金が必要です。考え方は障がい福祉サービスの開業資金、使える制度は助成金・補助金の記事で整理しています。
まとめ
農福連携×就労継続支援A型は、地域の農業と障がいのある方の働く場を同時に支える、社会的な意義の大きい事業です。同時にそれは、毎月の賃金を農産物の売上で支払う事業でもあります。福祉の運営と農業の経営、その両方を立ち上げる覚悟が要ります。
ONENOUENは、群馬県伊勢崎市の現場でミニトマトを育て、選び、詰め、届けるところまでを利用者とともに担ってきました。その積み重ねを型としてお渡しするのが、私たちのフランチャイズです。まずは、ご希望のエリアで開業できるか、どんな品目と販路が現実的かというところから、一緒に確かめさせてください。
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