就労継続支援B型の報酬単価表【令和8年6月改定対応】
収支モデルの作り方と、新規開設で変わる点

2026.09.12

就労継続支援B型の開業を考え始めると、必ず「で、いくら入ってくるのか」という問いにぶつかります。ところが「就労継続支援B型 報酬単価表」で調べても、単位数の表がそのまま貼られているだけだったり、古い数字のままだったりで、自分の計画に当てはめられない。そういうご経験をされた方は多いと思います。

この記事では、令和8年6月に施行された最新の「就労継続支援B型 報酬単価表」を、人員配置ごと・定員ごとに全部載せます。そのうえで、その単位数から月の収入をどう組み立てるか、支出とどう突き合わせるかまでを、順を追って書きます。

そして、これから開業される方には避けて通れない話がひとつあります。令和8年6月1日以降に新しく指定を受けた事業所は、基本報酬が所定単位数の1000分の984になります。すでに運営している事業所は対象外です。この点も、厚生労働省の資料に基づいて正確にご説明します。

数字はすべて厚生労働省の公表資料から取りました。出典は各表の下に記載しています。

就労継続支援B型の報酬はどう決まるのか

まず全体の形を押さえます。B型事業所の収入は、国(正確には市町村)から支払われる給付費です。利用者の方から利用料をいただいて成り立つ事業ではありません。

そして給付費は、次の2つでできています。

収入は「基本報酬」と「加算」の2階建て

基本報酬は、サービスを提供した1日あたりの土台の金額です。加算は、送迎をした、有資格者を配置している、といった取り組みに対して上乗せされる金額です。

ここを分けて考えないと事業計画が組めません。基本報酬は「どういう事業所か」でほぼ固定され、加算は「何をするか」で自分で増やせるという性格の違いがあるからです。

報酬の計算式

1か月の給付費は、おおよそ次の形で決まります。

(基本報酬の単位数 + 加算の単位数)× 1単位あたりの単価 × 実際に通所した延べ日数

ここで最も見落とされやすいのが「実際に通所した延べ日数」です。定員20人の事業所でも、その日に来られたのが12人なら、その日の報酬は12人分です。定員ではなく、通った人数で決まります。収支モデルを組むときに、ここを定員で計算してしまうと、計画と現実が大きくずれます。

1単位あたりの単価は原則10円です。ただし地域区分によって上乗せがあり、都市部ほど高くなります。ご自身の市区町村の単価は、自治体の公表資料でご確認ください。この記事の試算は、上乗せのない「その他」地域=1単位10円で統一しています。

基本報酬を決める3つの要素

基本報酬の単位数は、次の3つの組み合わせで決まります。

要素内容報酬への効き方
① 人員配置6:1/7.5:1/10:1
(利用者何人に対して職員1人か)
手厚いほど高い。6:1が最も高く、10:1が最も低い
② 定員20人以下/21〜40人/41〜60人/61〜80人/81人以上定員が少ないほど1人あたりの単価が高い
③ 前年度の平均工賃月額利用者へ支払った工賃の月平均高いほど高い。令和8年6月から12区分

※人員配置の「6:1」は、職業指導員と生活支援員の合計を、利用者の平均人数で割った比率です。管理者とサービス管理責任者は、この比率には含まれません。

3つ目の「平均工賃月額」に戸惑われる方が多いのですが、考え方はシンプルです。利用者にたくさん工賃を払えている事業所ほど、国からの報酬も高くなるという設計です。工賃は事業所にとって支出ですが、その支出が翌年度の収入を押し上げる。ここがB型の報酬設計の特徴です。

【令和8年6月版】就労継続支援B型 報酬単価表

ここからが本題です。令和8年6月1日から適用される単位数を、人員配置ごとに全部載せます。いずれも定員20人以下の場合です。

表が長く見えますが、読み方は簡単です。自分の事業所の人員配置で表を選び、前年度の平均工賃月額の行を見る。それだけです。

就労継続支援B型サービス費(Ⅰ)=人員配置 6:1

最も手厚い配置です。同じ工賃でも、この配置が最も高い単位数になります。

前年度の平均工賃月額基本報酬(1日あたり)
4万8千円以上837単位
4万5千円以上4万8千円未満812単位
3万8千円以上4万5千円未満805単位
3万5千円以上3万8千円未満781単位
3万3千円以上3万5千円未満758単位
2万8千円以上3万3千円未満738単位
2万3千円以上2万8千円未満726単位
2万円以上2万3千円未満705単位
1万8千円以上2万円未満703単位
1万5千円以上1万8千円未満682単位
1万円以上1万5千円未満673単位
1万円未満590単位

出典:厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(定員20人以下・令和8年6月施行)

就労継続支援B型サービス費(Ⅱ)=人員配置 7.5:1

実際に選ばれることが多い配置です。

前年度の平均工賃月額基本報酬(1日あたり)
4万8千円以上748単位
4万5千円以上4万8千円未満726単位
3万8千円以上4万5千円未満716単位
3万5千円以上3万8千円未満695単位
3万3千円以上3万5千円未満669単位
2万8千円以上3万3千円未満649単位
2万3千円以上2万8千円未満637単位
2万円以上2万3千円未満618単位
1万8千円以上2万円未満614単位
1万5千円以上1万8千円未満596単位
1万円以上1万5千円未満584単位
1万円未満537単位

出典:厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(定員20人以下・令和8年6月施行)

就労継続支援B型サービス費(Ⅲ)=人員配置 10:1

基準上の最低配置です。人件費は最も軽くなりますが、単位数も最も低くなります。

前年度の平均工賃月額基本報酬(1日あたり)
4万8千円以上682単位
4万5千円以上4万8千円未満662単位
3万8千円以上4万5千円未満653単位
3万5千円以上3万8千円未満634単位
3万3千円以上3万5千円未満611単位
2万8千円以上3万3千円未満594単位
2万5千円以上2万8千円未満577単位
2万3千円以上2万5千円未満572単位
1万8千円以上2万3千円未満557単位
1万5千円以上1万8千円未満541単位
1万円以上1万5千円未満532単位
1万円未満490単位

出典:厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(定員20人以下・令和8年6月施行)

人員配置による差は、年間でどれくらいか

同じ工賃でも、配置によってこれだけ違います。平均工賃月額が4万8千円以上の場合で比べます。

人員配置1日あたり月の報酬の目安6:1との差(年間)
6:1(サービス費Ⅰ)837単位約368万円—
7.5:1(サービス費Ⅱ)748単位約329万円約470万円
10:1(サービス費Ⅲ)682単位約300万円約818万円

単位数 × 10円 × 20人 × 22日で算出した概算です。実際には各種加算・処遇改善加算が加わり、地域区分によって単価も変わります。

ただし、この差をそのまま利益の差と考えてはいけません。6:1にするには職員を多く雇う必要があり、その人件費が増えます。増える報酬と増える人件費のどちらが大きいかは、定員と稼働率で変わります。後半の収支モデルで、この点を具体的に見ます。

定員が増えると、1人あたりの単価は下がる

「定員を大きくすれば売上が伸びる」と考えたくなりますが、報酬設計はそう単純ではありません。定員が増えると、1人1日あたりの単位数が下がります。

定員6:1(サービス費Ⅰ)の最高区分
20人以下837単位
21人以上40人以下746単位
41人以上60人以下700単位
61人以上80人以下688単位
81人以上666単位

出典:厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」(平均工賃月額4万8千円以上の区分)

定員を20人から40人に倍にしても、単価が837から746へ下がるため、報酬は単純に2倍にはなりません。一方で、建物も職員も倍近く必要になります。最初の1事業所を「定員20人以下」で設計する事業者が多いのは、この構造が理由です。

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令和8年6月の改定で、何が変わったのか

ここが、いま多くの事業者が気にしている点だと思います。結論を先に申し上げます。

単位数の金額そのものは変わっていません。変わったのは「その単位数をもらうために必要な工賃の水準」です。

基準額が一律3千円引き上げられた

これまで「平均工賃月額4万5千円以上」で最高区分の837単位でした。令和8年6月からは、837単位をもらうには「4万8千円以上」が必要になります。すべての区分で、基準額が3千円ずつ引き上げられました。

なぜこうなったのか。厚生労働省は理由をはっきり書いています。令和6年度の改定で平均工賃月額の計算方法を変えた結果、計算上の平均工賃月額が約6千円上がり、想定より高い報酬区分に入る事業所が増えたためです。引き上げ幅は、その上昇分(約6千円)の半分である3千円に留められています。

同じ工賃でも、区分が下がる帯がある

基準額が上がった結果、工賃額が去年と全く同じでも、区分が1つ下がるケースが出ます。サービス費(Ⅰ)・定員20人以下で、実際にどうなるかを並べます。

前年度の平均工賃月額これまで令和8年6月から差
4万6千円837単位812単位−25単位
3万6千円805単位781単位−24単位
3万1千円758単位738単位−20単位
2万6千円738単位726単位−12単位
2万1千円726単位705単位−21単位
1万6千円703単位682単位−21単位

サービス費(Ⅰ)・定員20人以下の場合。厚生労働省の単位数表から機械的に算出したものです。

1日25単位の差は小さく見えますが、定員20人・月22日稼働なら、25単位×10円×20人×22日=月11万円、年間で約132万円です。看過できる額ではありません。

ただし、対象外になる事業所があります

ここは必ず押さえてください。この見直しは、すべての事業所に一律に適用されるわけではありません。厚生労働省は3つの配慮措置を設けています。

配慮措置内容
① 適用対象外令和6年度改定の前後で報酬区分が上がっていない事業所は、この見直しの対象外。従前の区分がそのまま適用される
② 中間区分の新設区分が下がる事業所の基本報酬の減少額が3%程度に収まるよう、(A)〜(F)の中間区分を新設。区分は8から12に増えた
③ 低工賃区分は据え置き令和6年度改定で単価を引き下げた区分(七)と(八)の間の基準は、引き上げず据え置き

出典:厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」

つまり「令和8年6月から全事業所の報酬が下がる」というのは誤りです。令和6年度改定で区分が上がらなかった事業所は、これまでどおりです。ご自身の事業所が該当するかは、令和6年度改定の前後で区分が動いたかどうかで判断します。

平均工賃月額の計算式

報酬区分を決める「前年度の平均工賃月額」は、次の式で計算します。

年間の工賃支払総額 ÷(年間の延べ利用者数 ÷ 年間の開所日数)÷ 12か月

括弧の中が「1日あたりの平均利用者数」です。この式は令和6年度改定で導入されたもので、体調などの事情で利用日数が少ない方を多く受け入れている事業所が不利になりにくいように設計されています。

【これから開業する方へ】新規指定は基本報酬が1000分の984になります

令和8年6月の改定には、開業を検討している方にとって最も重要な項目があります。

令和8年6月1日以降に新規指定を受けた事業所は、基本報酬が所定単位数の1000分の984になります。約1.6%の引き下げです。すでに指定を受けて運営している事業所は、これまでどおりです。

なぜこうなったのか

厚生労働省の説明はこうです。障害福祉サービスの総費用が増え続けており、一方で人材確保が急務になっている。そのなかで、収支差率が高く、かつ事業所が急増しているサービスについては、制度を続けていくために、新規事業所に限って一時的に報酬を調整するというものです。

対象になったのは4つのサービスです。

対象サービス適用
就労継続支援B型令和8年6月1日以降に新規指定を受けた事業所
(既存事業所は従前どおり)
令和9年度の報酬改定までの間
共同生活援助(介護サービス包括型・日中サービス支援型)
児童発達支援
放課後等デイサービス

出典:厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」。対象の選定基準は、年間総費用額全体に占める割合が1%以上で、令和6年度の収支差率が5%以上あるサービスのうち、事業所の伸び率が過去3年間5%以上続いているもの。

影響額を試算する

定員20人・7.5:1(サービス費Ⅱ)・平均工賃月額2万円(618単位)で、月22日稼働・稼働率100%とした場合です。

既存の事業所令和8年6月以降の新規指定
1日あたりの単位数618単位618単位 × 984/1000
月の基本報酬(概算)約272万円約268万円
差額月 約4万4千円/年 約52万円

618単位×10円×20人×22日で算出した概算です。実際には各種加算・処遇改善加算が加わり、地域区分によって単価も変わります。

年間で約52万円。開業初年度の事業計画に、この分をあらかじめ織り込んでおく必要があります。

従前の単価が適用されるケースがあります

ただし、この引き下げには例外が明記されています。次に当てはまる場合は、新規指定でも従前の報酬単価が適用されます。

区分従前の単価が適用される場合
重度障害者への配慮医療連携体制加算(Ⅳ)を算定する利用者に係る基本報酬
視覚・聴覚言語障害者支援体制加算(Ⅰ)(Ⅱ)、高次脳機能障害者支援体制加算を算定する事業所に係る基本報酬
地域への配慮離島・中山間地域(特別地域加算の対象地域)にある事業所
公募により、サービスが不足する地域に設置する事業所
自治体から補助等の経済的支援を得て設置する事業所

出典:厚生労働省「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について」

また、合併・分割・事業譲渡による指定で、その前後で事業所が実質的に継続して運営されると認められる場合は、既存事業所と同じ扱いになります。

この例外は、開業の場所と設計を考えるうえで重要です。「どこに、どういう方を受け入れる事業所を作るか」という判断が、そのまま報酬単価に直結します。自治体が公募をかけている地域はないか、補助制度はないか。ここは物件を決める前に確認すべきところです。

加算をどう積み上げるか

基本報酬は、人員配置・定員・前年度の工賃で決まります。開業初年度は前年度の実績がないため、基本報酬は動かせません。初年度に自分で増やせるのは加算です。

主な加算を挙げます。

加算単位数取り方
初期加算1日 30単位利用開始日から30日まで。新規利用者を受け入れれば自動的に対象
送迎加算(Ⅰ)片道 21単位送迎の実施。人数や実施回数の要件あり
送迎加算(Ⅱ)片道 10単位同上((Ⅰ)の要件を満たさない場合)
食事提供体制加算1日 30単位調理室等を設けて食事を提供する
欠席時対応加算1回 94単位(月4回まで)急な欠席時に連絡調整・相談援助を行い記録する
福祉専門職員配置等加算(Ⅰ/Ⅱ/Ⅲ)1日 15/10/6単位社会福祉士等の有資格者の割合、常勤職員の割合、勤続年数
目標工賃達成指導員配置加算1日 45単位(定員20人以下)目標工賃達成指導員を常勤換算で1人以上配置
目標工賃達成加算1日 10単位工賃向上計画の目標を達成する
重度者支援体制加算(Ⅰ/Ⅱ)1日 56/28単位(定員20人以下)障害基礎年金1級受給者が利用者の50%/25%以上
医療連携体制加算(Ⅰ〜Ⅵ)1日 32〜800単位看護職員の配置・医療的ケアの実施内容による
就労移行連携加算1回 1,000単位就労移行支援等への移行を支援した場合
ピアサポート実施加算1月 100単位障害のある方を支援者として配置し研修を修了させる

出典:厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造(令和8年度)」。定員20人以下の場合。算定にはそれぞれ要件があり、要件を満たさずに算定すると返還の対象になります。

処遇改善加算は、金額が大きい

忘れてはいけないのが福祉・介護職員等処遇改善加算です。これは1日いくらではなく、基本報酬とその他の加算を合計した単位数に、率を掛けて上乗せされます。

加算の区分加算率
福祉・介護職員等処遇改善加算(Ⅰ)ロ10.9%
同(Ⅱ)ロ10.7%
同(Ⅰ)イ10.5%
同(Ⅱ)イ10.3%
同(Ⅲ)8.8%
同(Ⅳ)7.4%

出典:厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造(令和8年度)」。所定単位=基本報酬および各加算(処遇改善加算を除く)を算定した単位数の合計。

月の報酬が270万円なら、処遇改善加算だけで20万円から29万円が上乗せされます。ただしこの加算は職員の賃金改善に充てることが条件で、事業所の利益として自由に使えるお金ではありません。それでも、取得しないという選択肢はありません。取らなければ、同じ仕事をして同じ人件費を払いながら、収入だけが1割低い状態になります。

収支モデルの組み立て方

ここまでの数字を、1つの表にまとめます。定員20人・人員配置7.5:1・平均工賃月額2万円(618単位)・月22日稼働・「その他」地域(1単位10円)という設定です。

収入側

項目計算月額(概算)
基本報酬618単位 × 10円 × 20人 × 22日約272万円
加算(送迎・食事・初期加算など)取得状況による数十万円
処遇改善加算上記合計の 7.4〜10.9%基本報酬だけでも 約20〜30万円
生産活動収入作業内容による事業所ごとに大きく異なる

618単位×10円×20人×22日で算出した概算です。稼働率100%を前提としています。実際には地域区分・加算の取得状況によって変わります。

「生産活動収入」を給付費と混ぜないでください。これは利用者の作業から生まれる売上で、原則として工賃の原資に充てるものです。事業所の利益として計上するお金ではありません。ここを混同した事業計画は、行政の指導対象になります。

支出側

項目内容性格
人件費管理者、サービス管理責任者、職業指導員、生活支援員基準で決まる。利用者が少ない月も減らせない
工賃利用者へ支払う翌年度の基本報酬区分に直結する
家賃・光熱費事業所の物件固定費
送迎費車両、燃料、保険送迎加算とセットで考える
生産活動の原価材料・仕入生産活動収入と対応させる
システム・事務費請求ソフト、記録、通信固定費

支出の内訳と金額は、地域・物件・作業内容によって大きく異なります。この表は費目の整理であり、金額の目安を示すものではありません。

この表で最も重要なのは「人件費は基準で決まっていて、利用者が少ない月も減らせない」という一行です。B型の収支は、ここが効きます。

稼働率が下がると、どうなるか

報酬は「実際に通所した延べ日数」で決まります。一方で人件費は変わりません。稼働率が下がったときに何が起きるかを見ます。

稼働率1日あたりの通所人数月の基本報酬(概算)100%との差
100%20人約272万円—
90%18人約245万円月 約27万円減
80%16人約218万円月 約54万円減
70%14人約190万円月 約82万円減
60%12人約163万円月 約109万円減

618単位×10円×通所人数×22日で算出した概算です。実際には各種加算・処遇改善加算が加わり、地域区分によって単価も変わります。

稼働率が100%から80%に落ちるだけで、月54万円、年間で約653万円の差になります。そしてこの間、人件費はほとんど変わりません。

収支モデルを作るときは、稼働率100%で計算しないでください。開所直後は利用者が集まるまで時間がかかります。少なくとも70%、80%、90%の3本で計画を作り、「何%を何か月続けたら資金が尽きるか」を先に出しておく。これが、事業計画で本当に見るべき数字です。

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収支モデルが崩れる4つの型

計画の段階では成り立っていたのに、開所後に合わなくなる。その原因は、だいたい次の4つに分かれます。

① 稼働率を100%で計算していた

最も多い型です。定員20人=毎日20人が来る、という前提で計画を作ってしまう。実際には、体調、通院、ご家族の事情などで、毎日全員が通所することはまずありません。開所直後は利用者ご自身がまだ決まっていません。

対策は単純です。計画を1本ではなく3本作る。そして、最も低い前提でも運転資金が持つかを確認してから始めることです。

② 工賃を「支出」としか見ていない

工賃は確かに支出です。しかし前年度の平均工賃月額が、翌年度の基本報酬区分を決めます。工賃を削れば、翌年の収入が下がります。

逆に言えば、工賃を上げられる作業を持つことが、翌年度以降の収入を押し上げます。どんな生産活動をするかは、福祉の話であると同時に、そのまま収支の話です。ここを分けて考えないことが大切です。

③ 人員基準を切り詰めすぎた

人件費を抑えたいという判断は理解できます。しかし人員基準を割ると減算の対象になります。サービス管理責任者が欠けた場合、サービス提供職員が基準を下回った場合、個別支援計画が作成されていない場合など、それぞれに減算が設定されています。

減算は基本報酬そのものが下がるため、影響が非常に大きくなります。職員1人分の人件費を惜しんだ結果、報酬全体が減るという形になりかねません。

④ 加算を取りこぼしている

加算は、要件を満たしていても届出をしなければ1円も入りません。「うちは該当しないだろう」と思い込んで確認していない加算が、実は取れることがあります。

開業前に加算の一覧を作り、「今取れるもの」「要件を満たせば取れるもの」「取れないもの」の3つに仕分ける。この作業を最初にやっておくと、開所後の取りこぼしが大きく減ります。

よくある質問

令和8年6月から、すべての事業所の報酬が下がるのですか

いいえ。令和6年度改定の前後で報酬区分が上がっていない事業所は、この見直しの対象外です。また、区分が下がる事業所についても、減少額が3%程度に収まるよう中間区分が新設されています。

1000分の984の引き下げは、いつまで続きますか

厚生労働省の資料では「令和9年度報酬改定までの間」とされています。臨時応急的な措置という位置づけです。

すでに指定を受けている事業所が、事業を譲り受けた場合はどうなりますか

合併・分割・事業譲渡に伴う指定で、その前後で事業所が実質的に継続して運営されると認められる場合は、既存事業所と同じ扱いになります。1000分の984は適用されません。

人員配置は6:1と10:1のどちらがよいですか

一概には言えません。6:1のほうが単位数は高くなりますが、その分の人件費が増えます。定員、想定する稼働率、地域の人材確保のしやすさによって答えが変わります。まずは10:1または7.5:1で始めて、稼働が安定してから配置を厚くするという進め方もあります。

開業初年度の基本報酬区分はどうなりますか

前年度の工賃実績がないため、初年度は工賃実績に基づく区分ではなく、別の取り扱いになります。具体的な適用は自治体の判断によりますので、指定申請の相談時に必ず確認してください。

まとめ

長くなりましたので、要点を整理します。

論点結論
報酬の決まり方(基本報酬+加算)× 単価 × 実際に通所した延べ日数。定員ではなく通所実績で決まる
基本報酬を決める3要素人員配置(6:1/7.5:1/10:1)、定員、前年度の平均工賃月額
令和8年6月の改定単位数は据え置き。基準となる工賃額が一律3千円引き上げられ、区分が8から12に増えた
改定の対象外令和6年度改定の前後で区分が上がっていない事業所は従前どおり
新規指定の取り扱い令和8年6月1日以降の新規指定は所定単位数の1000分の984。令和9年度改定まで
例外重度障害者の受け入れ、離島・中山間地域、自治体の公募・補助による設置は従前の単価
収支で最も効くもの稼働率。100%から80%で年間約653万円の差が出る一方、人件費は減らせない

B型は、制度として収入の見通しが立てやすい事業です。ただし「見通しが立つ」ことと「放っておいても回る」ことは違います。稼働率を保つこと、工賃を上げ続けること、加算を取りこぼさないこと。この3つを地道に積み上げられるかどうかで、数年後の姿は大きく変わります。

フランチャイズという選択肢

ここまでお読みいただいて、「制度は分かった。しかし、この稼働率をどうやって作るのか」と感じられた方が多いのではないかと思います。

正直に申し上げて、そこが一番難しいところです。制度の数字は公開されていて誰でも読めますが、利用者の方に選んでいただける事業所をどう作るか、どんな生産活動なら工賃を上げられるか、職員をどう採用し定着させるか。この部分には答えが公開されていません。

ワンライフは、eスポーツ、保護犬・保護猫、農業といった分野と福祉を掛け合わせた事業所を運営し、そのモデルをフランチャイズとして全国に広げています。「障がいのカタチを変える。選択肢を増やす。」という考え方に共感してくださる方と、一緒に地域をつくっていきたいと考えています。

制度の質問だけでも構いません。ご自身の地域で成り立つのかどうか、まずは一度お話しさせてください。

同じ想いで、地域に新しい福祉の選択肢を

ワンライフは「障がいのカタチを変える。選択肢を増やす。」という想いに共感し、一緒に歩むパートナーを募集しています。

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この記事の監修者
市村 均弥(いちむら きんや)
株式会社ワンライフ 代表取締役

「障がいのカタチを変える」を掲げ、障がい福祉のフランチャイズを全国に展開。福祉と多様な産業(保護犬・保護猫、eスポーツ、農業など)を掛け合わせた事業モデルで、障がいのある方の“働く選択肢”を広げている。

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